「行動することが大事」と頭でわかっていても、いろいろと理由をつけて行動できない・・・。
できない理由を考えたり、する必要がない理由を考えたり・・・。
でも、後になって行動しなかったことを後悔して自己嫌悪・・・。
そんな自分を変えるにはどうしたらいいのでしょうか?
心理療法のACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)のこの本↓にヒントがあるよ!
ACTは、「新世代の認知行動療法」とも呼ばれる心理療法の1つで、エビデンス(科学的根拠)が蓄積されています。
この本をもとに、理由づけばかりして行動できない習慣を変える方法を紹介します。
大学・大学院で6年心理学を学び、公認心理師の資格を持つ僕が解説します!
私たちの心は「理由づけの機械」
こんな会話、結構ありませんか?
スマホ、格安simに変えた?
変えてない。
なんで?
通信が安定しなさそうなんで・・・
大手通信会社の格安プランなら、通信は何も変わらないよ。
でも、キャリアメールが使えなくなるんで・・・
手続きすれば使えるよ。
機種変更が・・・
simカード差し替えるだけ。
いや、でも変えるの面倒だし・・・。
他人を説得するときに、こんな状況になったことありませんか?
何を言っても「でも、でも、でも・・・」と、次々と理由を言う。
自分自身も同様。新しいことにチャレンジしようとすると、やらない理由を何かと見つけしまいます。
そして、後になってやらなかったことを後悔して落ち込んだり・・・。
でも、やらない理由を探してしまうのは普通のことだから大丈夫!
ACTの本では「理由付けの機械」と表現して、こう書いてあります。
私たちの心は言ってみれば理由付けの機械だ。私たちが重要な変化を起こそうとする度に、心はそれができない、すべきでない、する必要がない理由のリストを次から次へと作る。
Harris, R. (2011). The confidence gap: A guide to overcoming fear and self-doubt. Shambhala Publications.
(ラス・ハリス.岩下慶一(訳).(2021).自身がなくても行動すれば自身はあとからついてくる 筑摩書房)
この本では「心は言ってみれば理由付けの機械」と書いてありますが、当サイトでは「心」を「マインド」と表現します。
「心」を「マインド」と表現する理由
このサイトではなんで「心」を「マインド」と表現するの?
「心=マインド」じゃないの?
ACTで言う「マインド」は、普段使う「心」という言葉とはちょっとニュアンスが違うからだよ。
マインドは、比較、評価、分析、思い出す、などの頭の働き。
「思考」ってこと?
そう。ただ、日常用語の「思考」と違って、マインドはいろいろな特徴がある。
マインドは、超敏感な問題発見マシーン。
マインドの主な役割は、問題を発見し、解決して、あなたが確実に生き残れるようにすることである
生き残ることがあなたのマインドの最優先事項なので、どんなに小さな問題でも探し出せるよう、超敏感でなければならない
Ciarrochi, J. V., Hayes, L., & Bailey, A. (2012). Get out of your mind & into your life for teens: A guide to living an extraordinary life. Oakland: New Harbinger. (チャロッキ, J. V.・ヘイズ, L.・ベイリー, A. 大月 友・石津憲一郎・下田芳幸(監訳) (2016). セラピストが10代のあなたにすすめるACTワークブック—悩める人がイキイキ生きるための自分のトリセツ 星和書店)
これには進化の過程が関わっています。
原始人は、生き残れるように危険を察知するために周りを警戒し、最悪に備えました。そして、生き残った先祖から私たちは進化してきました。
その結果、現代人の脳も小さな問題でも探し出して、悪いことを予想するようになってしまいました。
心配、失敗の恐怖は進化の過程の副産物。
心の弱さや欠陥じゃないよ。
こんな考えが浮かんでも、あなたの心が弱いからではありません。
・私よりすごい人なんて沢山いるから私がやる意味なんてないよ・・・。
・私が書いたブログなんて、誰にも見られないよ・・・。やるだけ無駄。
・私が起業なんで、出来るわけないよ・・・。
・私がオフ会行っても相手を不快にさせるだけだよ・・・
これらの考えは、マインドのせいです。
マインドは、次のようなものにも例えられます。
・ワード・マシーン(言語製造機):言葉が次から次へと際限なくあふれてくる。
・「憂うつな」ラジオ:暗い過去と破壊的な未来、不満ばかりの現在について好んで放送する。
Harris,R. (2009). ACT made simple: An easy-to-read primer on acceptance and commitment therapy. Oakland, CA: New Harbinger(ハリス,R. 武藤 崇(監訳) 2012 よくわかるACT(アクセプタンス & コミットメント・セラピー)―明日からつかえるACT入門― 星和書店)
- やらない理由を探してしまうのは普通のこと。
- ACTの本では「理由付けの機械」と表現。
- マインドは、比較、評価、分析、思い出す、などの頭の働き。
- マインドは、超敏感な問題発見マシーン。
- マインドはそれができない、すべきでない、する必要がない理由のリストを次から次へと作る。
「理由づけの機械」を体験してみましょう
では、「理由付けの機械」を実際に体験してみましょう!
次の形式で文章をつくってみてください。
できたら、読み上げてみましょう。
心の中でもOKです。
理由付けの機械は動き出しましたか?
やらない理由を吐き出し始めましたか?
もし理由付けの機械が動かなかったら、決意の難易度をもっとあげてみてください。
実際に文章作ってみてどうだった?
作ってないよ。
どうして?
文章考えるのがめんどくさい。後で暇なときにやるよ。
というか、こんなのやって意味あるの?
それが「理由付けの機械」が動いてるってことだよ。
このような反応は、まったく正常な反応。多くの人が同じことをします。
自分も最初にこの本↓でこの課題を読んだとき、文章を作っていません(笑)
「理由付けの機械」を体験できたでしょうか?
あなたのマインドはどんなことを言ってきましたか?
- 決意の文章を書くと、「理由付けの機械」が体験できる。
- 理由付けはまったく正常な反応で、多くの人が同じようにする。
4つのよくある理由付け
「理由付けの機械」が動いたときによくあるのは、次の4つの理由付けです。
①障害:マインドは、行く手に立ちはだかるすべての障害物や困難を並べ立てる。
②自己評価:マインドは、自分がその課題を達成するのに足りないものをすべて挙げる。
③比較:マインドは、もっと上手くやれる、もっと才能のある、もっと簡単に目的を達成できる他者と自分を比較する。
④予期:マインドは、失敗、拒否、その他好ましくない結果を予期する。
Harris, R. (2011). The confidence gap: A guide to overcoming fear and self-doubt. Shambhala Publications.
(ラス・ハリス.岩下慶一(訳).(2021).自身がなくても行動すれば自身はあとからついてくる 筑摩書房)
でも、この4つって必要じゃないの?
失敗を予期して準備することって大事じゃない?
そう。その通り。
4つの理由付けが、役に立つかどうかだけが問題なんだ。
4つの理由付けの役に立つ思考と役に立たない思考は以下のような感じです。
「副業やりたいけど時間がない。テレビを見る時間を減らして、今よりも朝2時間早く起きて朝活すればできるかも」
「副業する時間なんてないよ。時間があったとしても大変でやりたくないよ」
「ハンドメイドの副業したいけど、営業が下手。じゃあ、営業についての本買ってきて勉強しよう!」
「営業なんて人見知りの私には無理・・・」
「〇〇さんは私と同じ時期にインスタ初めたのに、私の5倍のフォロワー数。どんな風にフォロワー伸ばしたんだろう?私もまねできるところはないかな?」
「○○さんはホントに凄いよな~。スキル高いし努力もするし。私なんて全然だめ。才能ないな・・・。」
「起業しても失敗するかも・・・。まずはスモールスタートで失敗しても損害が大きくならないようにするとしよう。あと、失敗したらサラリーマンに戻ればなんとかなるな」
「起業なんて絶対うまくいかない。失敗して莫大な借金を背負うだけ」
役に立つ思考なら、その通りに行動すればいいよ。役に立たないならその思考に従わなければいいよ。
- 「理由付けの機械」が動いたときによくある理由付けは4つ。
- ①障害、②自己評価、③比較、④予期
- 4つの理由付けは、役に立つかどうかだけが問題。
その思考に従って行動すると、人生豊になる?
マインドがいろいろ言い出したときは、「その思考に従った行動がより豊かで意味ある人生を創造するために役立つか?」で判断するといいよ。
その思考が役に立たないなら、その思考の言うことには従わずに、人生が豊かになる行動をとりましょう。
資格取得で将来豊かな人生になるのにマインドがこのようなことを言ってきた場合、マインドには従わずに行動した方がいいです。
ポイントは、思考を客観視すること。
「あ~、マインドがこう言ってきてるな~」ぐらいに考えておけばOK!
- 役に立たない思考を意識できるようになると、思考の及ぼす影響を軽減できる。
- その結果、思考にとらわれて行動できなくなることが減る。
やらない理由が頭に沢山浮かんでくるのは普通です(「理由付けの機械」が予め組み込まれているから)。
やらない理由が頭の中にありつつも、それを意識すれば、思考に従わずに行動できるようになります。
- その思考に従って行動することは役に立つかどうかだけが問題。
- 役に立たないなら、思考の言うことには従わずに、人生が豊かになる行動をとる。
- 役に立たない思考を意識できるようになると、思考の及ぼす影響を軽減できる。
- その結果、思考にとらわれて行動できなくなることが減る。
まとめ
- やらない理由を探してしまうのは普通のこと。
- ACTの本では「理由付けの機械」と表現。
- マインドはそれができない、すべきでない、する必要がない理由のリストを次から次へと作る。
- その思考にが役に立つかどうかだけが問題。
- 役に立たない思考を意識できるようになると、思考の及ぼす影響を軽減できる。
- その結果、思考にとらわれて行動できなくなることが減る。
この記事で参考にした本
参考文献
Ciarrochi, J. V., Hayes, L., & Bailey, A. (2012). Get out of your mind & into your life for teens: A guide to living an extraordinary life. Oakland: New Harbinger. (チャロッキ, J. V.・ヘイズ, L.・ベイリー, A. 大月 友・石津憲一郎・下田芳幸(監訳) (2016). セラピストが10代のあなたにすすめるACTワークブック—悩める人がイキイキ生きるための自分のトリセツ 星和書店)
Harris,R. (2009). ACT made simple: An easy-to-read primer on acceptance and commitment therapy. Oakland, CA: New Harbinger(ハリス,R. 武藤 崇(監訳) 2012 よくわかるACT(アクセプタンス & コミットメント・セラピー)―明日からつかえるACT入門― 星和書店)
Harris, R. (2011). The confidence gap: A guide to overcoming fear and self-doubt. Shambhala Publications.
(ラス・ハリス.岩下慶一(訳).(2021).自身がなくても行動すれば自身はあとからついてくる 筑摩書房)